状況の整理
最近発表されたニュースによれば、日本における賃金上昇率は、なんと 1990年代前半と同水準 にまで回復してきたとのことです。しかし一方で、消費者の実感としては「物価上昇ばかりで生活が苦しい」という声が根強く、景気が上向いているという実感はなかなか伝わっていないようです。
この矛盾はなぜ生まれるのか。実体経済とのギャップの正体を考えてみたいと思います。
数字と実感のズレを読み解く
賃金の上昇そのものは確かに起きています。ただし、その「上がり方」や「配分」が、国民の暮らしにすぐ届くかというと、そう単純ではありません。例えば次のような構造的な要因があります:
- 物価上昇が賃金上昇を追い越している
食品・光熱費・住宅費など、日常的なコスト上昇が劇的で、賃上げ分を吸い取ってしまう。 - 賃金上昇の恩恵を受ける層が偏っている
中小企業、パート・アルバイトなどには賃上げが行き渡りにくく、大企業・正社員中心に効果が大きい可能性。 - 非正規率・雇用形態の多様化
そもそも正規・非正規の格差や待遇の違いが、賃金上昇の波及を弱める。 - 税・社会保障負担や物価上昇とのトレードオフ
たとえ手取りが増えても、税金・保険料・公共料金のアップで可処分所得は抑えられやすい。
こうした構造が、数字上は賃上げが起きているように見えても、私たちの“財布の実感”をなかなか変えてくれない理由になっているのではないでしょうか。
数字の現実と人々の暮らしのギャップ
私は、この状況を「言葉とリアルのズレ」が広がっている時代の典型例だと感じます。統計や経済指標という“上から見た景色”と、日々買い物をして光熱費を支払う“我々の足元”は、どうしても視点が異なるものです。
企業の収益や投資が好調ならば、賃金上昇につながる可能性はありますが、それがどこまで“末端”まで届くかが問われています。特に中小・地方の零細企業、非正規雇用者の多い業界では、賃上げの波を受けにくい現実があるでしょう。
また、政策面でいうと、賃金上昇を後押しする制度設計(税制、補助金、最低賃金引き上げなど)が不可欠です。「賃上げはいいことだ」という言葉だけではなく、実際に生活を変えるための“実行力”を、国・自治体・企業がどこまで伴えているかがカギを握ると思います。
私は、これからのテーマの一つとして「数字が語ること」と「暮らしの実感をつなぐ仕組み」をどう作るか、もっと議論が深まってほしいと思っています。
未来への視点:方向性と期待
この先を考えると、以下のような視点が重要になってくるでしょう。
- 賃金上昇のボトムアップ化:大企業だけでなく、中小・地方にも波及する仕組みづくり
- 物価抑制政策との併走:賃上げだけでなく、生活必需品・公共料金の適正化
- 非正規・契約社員の待遇改善:企業の働き方改革、正社員化支援の推進
- 可処分所得を増やす制度設計:税・社会保障負担の見直しや給付型支援の拡充
- 市井の声を政策に反映させる機会:現場・地方の意見を反映する制度の強化
賃金上昇のニュースは決して無意味ではありません。ただ、それが“みんなの暮らし”までしっかり届くかどうか。今後の政策・企業姿勢・世論の推移に注目しつつ、私たち自身も「実感できる変化」を求めて声を上げていきたいですね。
数字の裏にある現実を、もっと多くの人で語り合いたいですね
参考・引用元livedoorニュース「賃上げ率は1990年代前半と同水準…それでも消費者が「景気 …」
https://news.livedoor.com/article/detail/29666907/



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